選挙運動時に有権者が候補者から聞きたい情報

選挙が近づくと候補者が各種政策、公約等を有権者に対し、演説、チラシ、メール等で伝えます。
候補者が当選した際に実行しようとする公約等は、本当に有権者が聞きたい情報でしょうか?
有権者が聞きたい情報と、候補者が伝えたい政策等がズレていると、有権者は候補者の声に耳を傾けにくくなりそうです。
選挙を予定されているかたは、選挙区有権者が本当に聞きたいことを把握していますでしょうか。
有権者が投票する際に、どのような内容を考慮しているかを知ることで、
選挙運動期間中にどのような情報を発信すればよいかがわかります。
有権者が投票する際に考慮している政治的課題等はどのようなものでしょうか?

データの出所は公益財団法人 明るい選挙推進協会 意識調査結果からです。

まずは、国政選挙である衆議院選挙、
2005年 第44回衆議院選挙、 2009年第45回衆議院選挙、2012年第46回衆議院選挙時について見ていきます。

2005年 衆議院選挙

有権者が考慮する問題 平成17年 衆議院選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第44回 衆議院議員総選挙の実態

有権者が選挙時に考慮した問題として、年金、福祉医療問題が上位にあり、郵政民営化問題、税金問題、雇用問題と続いています。

 2009年 衆議院選挙

有権者が考慮する問題 第45回 衆議院選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第45回 衆議院議員総選挙の実態

2005年と異なり、有権者が選挙時に考慮した問題としてトップに来たのは景気雇用問題についてです。
続いて、年金問題、医療介護問題、税金問題といった課題について並んでいます。

 

2012年 衆議院選挙

有権者が考慮する問題 第46回 衆議院選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第46回 衆議院議員総選挙の実態

2012年の衆議院選挙時に有権者が考慮した問題は、景気対策、年金、医療介護問題、消費増税等が上位にきています。
生活に直結する課題が上位に来ています。
続いて、参議院選挙から見ていきます。
2001年 第21回参議院選挙、2010年 第22回参議院選挙、 2013年第23回参議院選挙
有権者が投票する際に考慮した問題をグラフ化したものが下記になります。

2007年 参議院選挙

有権者が考慮した問題 平成19年 参議院選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第21回 参議院議員通常選挙の実態

2007年参議院選挙時に有権者が考慮した問題として、
年金問題、医療介護問題、税金問題等が上位に来ています。

2010年 参議院選挙

有権者が考慮した問題 平成22年 参議院選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第22回参議院議員通常選挙の実態

2010年参議院選挙時には景気雇用問題、医療介護、年金問題、税金問題等が上位に来ています。

2013年 参議院選挙

有権者が考慮した問題 平成25年 参議院選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第23回参議院議員通常選挙の実態

この参議院選挙においても、景気対策、年金、医療介護問題等が上位に来ています。

選挙が執行された時期により、経済情勢等が異なることを念頭においてこのグラフを見ると、
2005年〜2013年という期間に限定されますが、多くの有権者が年金、医療介護、景気雇用対策等を投票する際に考慮した問題の上位に来ています。
候補者演説等で財政再建対策、行財政改革、地方分権等の政策等について聴くことが多い傾向にあります。
しかしながら、有権者が選挙候補者から最初に聞きたいのは、自分の生活がどのようになるのかを知りたいということです。

最後に、2007年 第16回、2011年 第17回、過去2回の統一地方選挙において、
有権者が投票時に考慮した問題をグラフ化したものが下記になります。

統一地方選挙(2007年、2011年)

有権者が考慮した問題 統一地方選挙

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第16回統一地方選挙の実態、第17回統一地方選挙全国意識調査

 

こちらのグラフを見ても、医療介護、景気雇用、高齢化、税金といった項目が上位に来ています。

これらの項目は有権者の生活に直結する話題です。これら生活に直結する内容について有権者は投票時に考慮しています。
生活に直結する問題の次に、行財政改革。地方議会のあり方、地域振興等の課題について有権者は考慮しています。

選挙を予定されているかたは、ご自身の演説内容、主張する政策等が、
有権者の関心の何番目程度に位置づけられているか、このデータから検討することができます。

さらに、
有権者を年代別にわけた時、世代ごとにどのようなことを投票時に考慮しているのでしょうか?
平成23年に執行された統一地方選挙時に、年代別有権者がどのような問題について投票時に考慮していたのかを調査した結果がこちらです。
財団法人 明るい選挙推進協会が平成24年1月に発表した 第17回 統一地方選挙全国意識調査-調査結果の概要-P44 *1に年代別考慮した問題(上位5位)の表が掲載されています。

次に、この有権者を年代別にさらに絞り込んでいくと、年代別にどのようなことを投票する際に考慮しているのかがわかります。

年代別有権者の投票時に考慮する課題

 20-30歳代有権者

統一地方選挙 20〜30歳有権者が考慮した問題

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第17回統一地方選挙全国意識調査

景気、雇用、税金関係が上位に来ています。
年金関連についてはまだ下位にあります。

 40-50歳代有権者

統一地方選挙 40〜50代有権者が考慮した問題

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第17回統一地方選挙全国意識調査

この年代でも景気雇用についてがトップに来ています。
ついで、医療介護問題が上位にあります。

 

60歳以上有権者

統一地方選挙 60歳以上の有権者が考慮する問題

出所 公益財団法人 明るい選挙推進協会 第17回統一地方選挙全国意識調査

この年代になると、高齢化、医療介護についての問題が上位に来ます。

この表を見ますと、20〜50歳代は景気・雇用が投票時において大きな問題として第1位にあげられています。
それに対して60歳以上は高齢化問題が第1位に来ています。
*1 https://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2012/07/17toituagiyo.pdf